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鳥取県鳥取市の建築・設計事務所
2011年10月のアーカイブ
2011年10月21日
出雲大社保存修理      澤 健一
 21出雲 042 10月21日に出雲に行った。出雲大社本殿の保存修理の見学である。
  
 設計監理が文化財建造物保存技術協会、工事が清水建設。工事は二期目に入っており、本殿の建築工事と屋根の桧皮葺き工事の真っ最中であった。
   工期は25年の3月まで、いいときに見学が出来たと、鳥取地区建防協の竹中会長に感謝する。
  もとは杵築大社(きつきおおやしろ)、現在の出雲大社は大国主大神が御祭神、二礼四拝の参拝形式だがもともとは三十二拝だった、11月(旧暦10月)は神在月で全国から八百万の神々が集まってこられ神議がおこなわれる。いまは神々の皆さんがせっせと来られている最中でしょうか。
  大社は60年周期で造営遷宮をしている。前回は昭和28年、記録の範囲内では29回目。あの伊勢神宮は20年、なぜ60年か?のひとつの説は大量の木材の確保と資金の確保のようである。60年では造営遷宮に関わる人々は一生に一回ということだ。
  今回の御本殿は延享元年(1744)の建立、高さは8丈(≒24m)方六間正殿式と呼ばれている。修理は最も朽ちている部分を中心に行っている。工事写真は禁止なのであしからず。実際に普段の私たちは本殿には入れない。このような機会だけなのだ。
縁の板をはずした縁桁の修理を見た。桁の上、縁板との間に鉄板を挟んでいることに興味がいった。防腐処理として行っている。
  屋根の桧皮は特に大社は他の社寺より長い。二尺五寸が普通、が大社は三尺以上、ゆえに職人さんが座って仕事が出来ないので現場はたいへんらしい。桧皮を止める釘は竹釘、油で炒って使う、腐らない300年はもつものといわれている。
 本殿の屋根は特に重厚に作られている。桧皮の下には板屋根が三重に施されている。板は刻索(こくそ)という接着剤で板どおしのつなぎを防水と接着の用途で使われている。これがまた削っても取れない物らしい。
  「ちゃん塗り」という言葉を聞いた。いぜんにもどこかで聞いたことのあるような?。本殿の箱棟、千木、勝男木などは銅版を張りその上に「ちゃん塗り」を行う。黒い色がまた格式をあげている。日本でも規模としては最大級であろうとのこと。「ちゃん塗り」とは松脂を主成分とした塗料。
 そして飾り釘や金物には「にぐろめ」という硫酸カリによる硫化皮膜を施す。
 ほんとうに昔の職人さんはすごいですね。(もはや常套句)
カテゴリ: スタッフブログ at 2011年10月21日 │(トラックバック:0)