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2009年10月15日 |
山形の建築 澤 |
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土門拳記念館 記念館は平成14年6月に落成。設計は谷口吉生で、1984年の吉田五十八賞を受賞。完成から25年たっているが美しく保たれている。なんといっても白鳥池に生える建物の姿は予想以上に土地の歴史性を表現して計画されている。建築に加えて土門さんと親しい方々の記憶をも意図されている。コート1の庭園は草月流家元勅使河原宏(てしがわら)「流れ」。最上川の玉石を使っている。彫刻はイサム・ノグチ「土門さん」。
主展示室の床は特注ナラフローリング、天井は蛍光灯500本を使い昼光に近いルーバー天井となりみごとである。展示壁は鉄板にフッ素樹脂塗装としてきづ付きにくいものとしている。 思っていたより外観デザインから受けた規模が現実は小さく感じた。しかし、内部空間はその反面性からなのか作品の主張からなのか豊かで親しみやすいものとなっている。
酒田市立美術館 平成9年10月、鳥海山、最上川、そして市街地を一望できる丘に開館。広大な敷地内にゆったりと立つ景観を生かした美術館。常設の柱となる作品は文化勲章受章者・森田茂画伯の作品。酒田市出身の洋画家・故斎藤長三氏の作品と彫刻家・故高橋剛氏の作品です。意外、とても楽しい(?)美術館です。池原義郎さんの作品で、いたるところに池原流のデザインがちりばめられていて面白い。
真下慶治美術館 着いたら展示準備の休館日だった。ラッキーなのは館長さんに建築の理解があって丁寧に説明を受けられたことだ。建物は最上川を眼下に望む高台に位置し、なだらかな丘陵と杉林を背景に、周りの景観に溶け込む建築となっている。とりわけ、その前面に広がる最上川の大蛇行部(大淀)を眺めることができるラウンジは、作品鑑賞の余韻に浸るのに格好の空間となる。 また、この美術館は木造(村山市産材)の可能性を追求した先駆的工法によるもの、廊下や多目的室の小屋組や展示室の不可解な構造に建築士としては興味がつきない。地域循環型エネルギーのペレットボイラーも使用した環境にやさしい施設。設計は当地村山市生まれの高宮眞介氏。高宮さんは丹下さんの所から土門拳の谷口さんの所へ移っている。丸亀市猪熊美術館や豊田市美術館などの有名な作品があるが、その系譜からは真下は少し違うような気もする。しかし、いずれも土地や環境を徹底的に生かす点では脱帽だ。
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